Blackbox of yogurt

2021

牛乳がヨーグルトになるまでを一望する

ヨーグルトは発酵乳の一種で、乳を乳酸菌や酵母で発酵させたものである。リサーチを進める中で、牛乳からヨーグルトになるまでに何が起きているのかをこの目で見たいと考えた。
 プレーンヨーグルトは完成までに9時間必要である。発酵中に蓋を開けるとうまく固まらないため、発酵時間が5分づつ異なる発酵時間のヨーグルトを作り観察、記録した。
 この4枚のポスターは完成までの「外観」「色」「味」「カゼイン」の変化を表す。完成までの変化を同じ形式で並べることで、今まで蓋の下に隠されていたヨーグルトになるまでの過程を一望することができる。


→作品サイト(ウェブ展示)

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外観の変化:伝統的なヨーグルトは2種類の乳酸菌を使って作られる。この2つの乳酸菌は42℃前後で最も活動し、乳酸菌は牛乳に含まれる乳糖を乳酸に変化させてたんぱく質を分解する。こうして発酵が進み凝固したものはカード(凝乳)、分離した水分はホエイ(乳清)と呼ばれる。2種類の乳酸菌が助け合うことで、たった数時間のうちにヨーグルトは完成する。
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色の変化:変化するのは質だけではない。ヨーグルトは牛乳と同じ白色のイメージが強いが、ヨーグルトが固まる上でにじみ出る半透明で黄緑色の液体によって淡く色づく。
 牛乳のたんぱく質はカゼインとホエイタンパク質に大別される。カゼインは牛乳のたんぱく質の約80%を占め、乳酸によって凝固するのはこのカゼインである。その凝固物を取り除いた後に残る固まらなかった液体部分をホエイ、そこに含まれるたんぱく質をホエイタンパク質という。ホエイは99%は水分で、残りの1%に牛乳の栄養成分が含まれている。ホエイは「ホエイパウダー」として栄養補助食品にもなるほど栄養成分が豊富である。
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味の変化:見た目の変化だけではなく、当然味も変化する。ヨーグルトの味は乳酸菌の代謝による乳酸の酸味である。はじめは牛乳の味がするが、徐々にあのヨーグルトの酸味を感じるようになる。
 乳酸菌はたった数時間で牛乳に含まれる乳糖を乳酸に変化させる。そもそも乳酸菌とは糖(ブドウ糖、乳糖など)を分解して多量の乳酸をつくる細菌の総称である。広義では「糖を分解して乳酸など多量の酸を作るが、腐敗産物は作らない細菌」と定義されている。
 乳酸菌は糖を分解することで、エネルギーを得る。これは他の生物でいうところの呼吸であり、乳酸はその代謝でしかない。人間はその代謝を利用し多くの発酵食品を作り出した。
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カゼインの変化:ヨーグルトの固まりは牛乳にもともと含まれるカゼインというたんぱく質だ。牛乳のときにはカゼイン同士が反発しあって存在している。しかし、乳酸菌が生成する乳酸によって反発力を失うと、そのバランスを失い結合して沈殿する。
 カゼインはカゼインミセルと呼ばれる小さな球形の粒子として牛乳中に浮いている。牛乳が白く見えるのはこのカゼインミセルが原因である。光を受け、液中に分散した粒子がその光を乱反射することで相対的に白色に見えている。これをチンダル現象という。雲や波が白く見えるのも同じ原理である。
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